多賀町の民話 紙芝居集
人々は時々・・・・・思い出したように、
「誰かおるんか〜」
と言ってみましたが、どんなに待っても、・・・もう何も聞こえませんでした。
ただ一度だけ、返事があったということです。
「誰もおらんよ・・・・・」

それは山の神様の声でした。
「私は、がわそが砕けてしまうのを知っていて、二丈ボンの倍力を授けた。
そして雨の扉を開くように頼んだのだ」

なたねが谷を彩る頃にも、がわその風は二度と吹くことはありませんでした。
 今でも、萱原では時々「二丈ボンが来ょるで」と言います。
怒ったり、叱ったりするのではありません。
気をつけて、注意して。
丈夫に育て、立派に育てと願いを込めた、萱原の言葉なのです。

ちょんちょん。
ぱんぱん
おしまい。
  お多賀杓子  
     
まえへ    
はなしのはじめ  
 
 
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